30代、40代になってから「ダイエットをしても痩せにくくなった」「おなか周りの脂肪が気になるようになった」と感じたことはありませんか?
もしかするとそれは「基礎代謝の低下」が原因かもしれません。今回は基礎代謝に関する基本的な知識や基礎代謝を上げるための方法についてまとめています。
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基礎代謝を上げるために知っておきたい基本情報
まずは基礎代謝に関する基本的な情報を解説していきます。
そもそも基礎代謝とは
基礎代謝とは覚醒状態で、生命活動を維持するために必要最低限なエネルギーです。活動をせずにじっとしていても消費される1日あたりのエネルギー量で、一般成人は女性が約1200キロカロリー、男性が約1500キロカロリーです。
基礎代謝の男女や年齢の差
上でも触れたように一般的に基礎代謝は、男性の方が高く、女性の方が低くなります。男性のピークは15~17歳の1610キロカロリー、女性のピークは12~14歳の1410キロカロリーです。 その後加齢とともに徐々に基礎代謝は下がっていきます。
基礎代謝は上げることができる
基礎代謝は筋肉量や体質など、さまざまな要素から影響を受けます。運動をして筋肉量を増やしたり、適切な食生活を実践したりすることで、基礎代謝を上げることができます。
基礎代謝を上げると太りにくくなる
基礎代謝が高い=1日に消費するカロリーが多いということです。特に運動をしなくても多くのカロリーを消費するので、「基礎代謝が高い体=太りにくい体」といえます。肥満を防ぎ、若いころの体形を維持するには、基礎代謝を高めることが有効です。
基礎代謝はどれくらいの期間で上がるのか・上げるメリットはなにか
基礎代謝は数日運動したからといって簡単に上がりません。長い期間に渡って、適度な運動や身体によい食生活を続けることが必要です。
基礎代謝を上げることで、1日のエネルギー消費量が増えるため、太りにくく痩せやすい体になります。肥満を防ぐことで、生活習慣病予防にもつながります。
基礎代謝を上げるためにやりたい九つの方法
ここでは、基礎代謝を上げるために実践して欲しい九つの方法を紹介します。
体を動かしたり食事や水分補給のとり方を改善したりと、すぐに始められる方法もありますので、ご自身のライフスタイルに合わせて始めてみてください。
1 筋トレ
私たちの臓器の中では、主に筋肉、肝臓、脳でエネルギーを消費しています。肝臓や脳とは違って、筋肉は運動によって増やすことができるので、基礎代謝が上げるには筋トレがおすすめです。しかし、短期間で筋肉を増やすことはできません。筋トレはできる範囲から徐々に始めていきましょう。
例えば、スクワット10回、ひざをついた腕立て伏せ10回、腹筋10回を1セットとします。1~3日ほど間を空けて、週に2~3回行います。これくらいの運動に慣れてきたら、徐々に回数を増やしていきましょう。
筋トレで効果的に基礎代謝を上げるポイント
- ・無理せず始めること
- ・体をゆっくり動かすこと
- ・毎日同じ筋肉をトレーニングしないこと(1~3日間を空ける)
- ・少しずつ回数や負荷をかけていくこと
- ・お尻や太ももなど大きな筋肉を鍛えること
2 ストレッチ
ストレッチには自律神経を整える作用があります。自律神経の乱れは低体温の原因になり、低体温になると基礎代謝は下がります。朝起きたら、朝日を浴びながらストレッチをすると、交感神経が優位になり、代謝が上がりやすくなります。
特に、下半身の筋肉には血流を促進させるポンプのような役割があります。下半身の筋肉をストレッチして、血流を促進させることで、代謝の向上が期待できます。
ここでは、太もものストレッチ方法を紹介します。
- ・足を伸ばして座り、前に体を倒して、もも裏のストレッチ
- ・片足のひざを曲げて座り、体を後ろに倒して、もも前のストレッチ
3 有酸素運動
ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、脂肪燃焼効果があるためダイエットの定番で、血流の改善効果もあります。
早歩きを軽く呼吸が乱れない程度(会話ができるくらい)のスピードで、10分以上行うところから始めましょう。
できれば1日8千~1万歩、週に5万6千歩が理想です。難しい場合でも一駅手前で降りて歩く、できるだけ階段を使うなど、日々の生活の中で少しずつ歩く量を増やしていきましょう。
4 ヨガ、腹式呼吸
ヨガのように腹式呼吸をすることで、腹横筋などのインナーマッスルが働くため、基礎代謝向上が期待できます。腹式呼吸を意識的に行うだけでも効果がありますが、ヨガは様々な姿勢を維持しながら腹式呼吸を行うので、ストレッチや体幹(たいかん)の筋力強化にもなり、より基礎代謝の向上が見込めます。
腹式呼吸のポイント
- ・おなかを膨らませながら、鼻から7秒かけて息を吸う
- ・おなかをへこませながら、口から7秒かけて息を吐く
5 水分を多めにとる
積極的に水分をとりましょう。水分補給によって血行が良くなるため、基礎代謝の向上が期待できます。白湯のような温かい飲み物で胃腸を温めると、内臓の働きが活発になるため、冷たい水よりも白湯がおすすめです。
厚生労働省によると、体重60kgの成人男性が1日に必要な水分量は2.5Lです。そのうち食事から1L、体内で0.3L作られるため、1日に必要な飲み水は1.2Lとされています。
基礎代謝を上げるには、必要量よりも少し多めに水分をとるようにするのがおすすめです。
6 体が温まる食べ物をとる
体が温まる食べ物を食べることも有効です。先ほども触れましたが、胃腸を温めることで内臓の働きが活発になり、基礎代謝の向上が期待できます。
体を温める食べ物には、ショウガやにんじん、かぼちゃなど「冬に旬を迎える根菜類」があります。
また、基礎代謝を高め筋肉を維持・向上するために、たんぱく質の摂取も重要です。
7 腸内環境を整える
腸は第二の脳と言われるほど大事な臓器です。腸内環境が整うと、基礎代謝が上がりやすくなり、逆に腸内環境が乱れると、基礎代謝の低下や、免疫力の低下・便秘など、体に悪影響を及ぼします。
腸内環境を整えるには、善玉菌が含まれる発酵食品と、善玉菌の餌になる食物繊維が豊富に含まれる食品を食べましょう。
- ・発酵食品 納豆・みそ・キムチ・ヨーグルト・チーズ
- ・食物繊維 にんじん・ブロッコリー・ホウレン草・さつまいも・果物 など
基礎代謝を上げて、筋肉の維持や向上させる、たんぱく質が含まれる食品も合わせて食べるようにしましょう。
8 入浴、岩盤浴
基礎代謝を上げるには、体温を上げたり、自律神経を整えたりすることが効果的です。入浴や岩盤浴は、体温を高める効果があります。また、リラックスして副交感神経が優位になり、自律神経を整えることにもつながります。
9 漢方
漢方の「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」には、体の冷えを改善する効果があるため、基礎代謝向上を期待できます。医師の処方箋(せん)が不要なので、ドラッグストアで購入できますが、持病をお持ちの方や服用している薬がある方は、医師や薬剤師に相談してください。
無理せずできる範囲で始めましょう
ここまで基礎代謝を上げる九つの方法を紹介してきましたが、重要なのは続けやすい方法から、無理なく始めて徐々に量を増やしていくことです。先ほども解説したとおり、基礎代謝はすぐに高くなるものではありません。
運動であれば、
食事であれば、
- ・水分を多めにとる
- ・温かい食べ物・飲み物を意識的にとる
- ・発酵食品や野菜を増やす
あなたのライフスタイルに合わせて、無理をせずやりやすいことから始めてみましょう。
基礎代謝が下がる原因はなにか?
最後に基礎代謝が下がる原因について解説します。原因を知ることで、基礎代謝低下を防ぎましょう。
加齢による筋肉量の減少
基礎代謝が年齢を重ねるごとに低下していくのは、先ほど説明したとおりですが、その大きな原因は、加齢や運動不足による筋肉量の減少です。
筋肉量が減少し基礎代謝が低下すると太りやすい体となってしまいますが、実際に厚生労働省のデータを確認すると、男性は30代、女性は40代から肥満者(BMI≧25kg/㎡)の割合が増えていることがわかります。
肥満は糖尿病や高血圧など、様々な生活習慣病の原因となります。生活習慣病を防ぐ意味でも、年を取っても適度な運動で筋肉量を維持することは大切です。
不規則な生活による自律神経の乱れ
生活習慣が乱れた不規則な生活は、自律神経の乱れにつながり、徐々に基礎代謝が低下してしまいます。また、生活習慣の乱れは基礎代謝の低下だけでなく、生活習慣病などの病気のリスクも高めてしまいます。
無理なダイエットによる筋肉量の減少
過剰な食事制限を行うような無理なダイエットをすると、体がカロリー不足となり筋肉が分解されやすくなってしまいます。食事制限で一時的に体重が落ちたとしても、筋肉が分解されて基礎代謝が落ちるため、痩せにくく太りやすい体になってしまいます。
健康的な生活を送って基礎代謝を上げよう
基礎代謝を上げるのに、特別なことは必要ありません。「適度な運動」「バランスの取れた食事」「規則正しい生活」が基本です。
「健康的な生活=基礎代謝を上げる生活」とも言えます。「ダイエットをしても痩せにくくなった」「おなか周りの脂肪が気になるようになった」と感じた人は、日々の運動習慣、食事習慣、生活習慣を見直してみましょう。無理せず少しずつ改善していけば、基礎代謝の向上と健康的なライフスタイルが手に入ります。